相続
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生前対策の意義
相続開始後では、多くの問題が発生しやすく、対処するのも困難であることから、生前からの対策が特に重要である。
相続に関して生前対策することで、次のようなメリットがある。
①遺産を誰にどう渡すかを決めておくことで、争いを回避できる
②相続税額を事前にシュミレーションしておくことで、納税資金を確保する計画が立てられる
③事前の節税対策を実施することで、将来の相続税を節税できる
④税務調査時に問題となりそうな事項を事前に把握し、多額の追徴課税を納めることにならないようにする
⑤相続発生に伴う不安・疑問を解消することができる
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相続の流れ
①死亡届の提出(死亡した日から7日以内)
市区町村役場に「死亡届」を提出する
②遺言書があるかどうかの確認
被相続人の遺言書の有無を確認する
遺言書がある場合、公正証書遺言を除いて家庭裁判所で検認手続きを行う
③相続人の調査・確定
戸籍を収集して相続人を調査する
相続人が確定したら、相続関係説明図を作成する
④財産目録の作成
相続財産には、預貯金・有価証券・不動産といったプラスの財産だけでなく、借金等のマイナスの財産(債務)も含まれる
⑤相続の承認・放棄(死亡した日から3ヵ月以内)
相続財産の内容によっては「相続をしない」という選択をする場合もある
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単純承認(プラスの財産もマイナスの財産も全て相続)
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相続放棄(一切の財産を相続しない)
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限定承認(プラスの財産を限度としてマイナスの財産も相続)
⑥準確定申告(死亡した日から4ヵ月以内)
被相続人が確定申告をしていた場合、法定相続人は所得税の準確定申告をする
⑦遺産分割協議書の作成
各相続人が相続財産をどのように配分するかを話し合い、遺産分割協議書を作成する
遺産分割協議は、相続人全員で行う
相続人が1人のみであれば、他人の合意を得る必要はないことから、遺産分割協議書の作成は不要である
⑧遺産の名義変更手続き
遺言書または遺産分割協議書にしたがって、預貯金・有価証券・不動産等の相続財産を相続人へ名義変更する
⑨相続税の申告・納付
相続や遺贈等によって得た財産の合計額が基礎控除額を超える場合には、税務署に相続税の申告書を提出し、相続税を納付する必要がある
相続税がゼロの場合は、原則として相続税の申告手続きは不要である
相続税がゼロであっても、各種特例(小規模宅地特例・配偶者の税額軽減等)の適用を受ける場合には、相続税の申告手続きが必要である